【ドミニオン:移動動物園】黒猫の飼い方

逆走少女

どうも、逆張りオタクです。
まずはこちらの記事をご覧ください。

note.com

ドミニオン最新拡張セットである「移動動物園*1」が世界に登場して2ヶ月が経過しました。
喜ばしいことに日本語版もかつてないラグのなさで間もなく発売となるようですが、いずれにしろまだまだ新しい発見が尽きないお楽しみの期間は続くことでしょう。

上記の記事はドミニオンの戦術データベースとしても有用な、うりはりさんの素晴らしいブログ。その中でも黒猫を特集した一記事です。
まだまだ知見が少なく手探り状態の中で専用記事が世に1つだけでは評価が傾いてしまうかと思い、私にしては珍しく即効性重視で小記事を書き起こしてみました。先の記事から1ヶ月の時間が進んでいますが、ほぼカウンターする内容になりました。

はじめに

黒猫
Black Cat/黒猫≫は相手ターン中にアタックカードのプレイを行う、今までにない挙動のカードです。それだけにルールが立ち回りが複雑になっています。*2
本記事では4人戦を前提に考えていきます。

黒猫独占禁止法

黒猫は独占させてはいけません。
黒猫の脅威とは、あるタイミングを皮切りにデッキに急激に呪いを叩き込まれることであり、黒猫が次の黒猫を連鎖的に呼び込むことにあります。
誰にも独占させず、それぞれのデッキの中に2枚3枚であるならば、
・初期手札の所持率を減らせるためそもそも始動しにくくなる
・始動したところで一撃の重さを軽減できる
・上記2点に従いリスクが分散され、呪いの汚染が遅くなる
・リアクション格差によって1人だけが飛び抜けて優位に立つ確率を下げられる

少なくともリアクション初回で勝者が決まってしまうことは無くなるでしょう。

lose-loseの推奨?と思われるかもしれませんが、黒猫自身が強力なカードなので自分で持っておき配る側に回ることは十分にメリットになります。
サプライに他の呪い撒きカードが無ければ意地でも枚数確保した方が無難とすら言えるレベルでしょう。

コンボで使おう

先の記事の「ステロで使おう」とは、根本のところを受け取ると元は「黒猫を許容するデッキで使用しよう」の意味かと思います。であればステロ以外にも許容できるデッキがあります。
コンボデッキですね。ニッコリ(ドミニオン二元論)

ステロに対する優位は以下の点になります。
・2ドローカードとして多数採用しやすい
・圧縮やデッキ操作によって初期手札に存在する確率を上げやすい
・呪いを掃ける体制を整えやすい

採用しやすい

まず、村さえあればその分2ドローカードを許容できます。
リアクションドローが始まれば過剰アクション体制となりますが、実際はデッキ枚数の増加によりそもそも全アクションを使用できない問題の方が比重が大きくなってしまいそれどころではないでしょう。であればまず引いて、全アクションをプレイできることを喜びましょう。一応、村人トークンの補助があればアクション権に無駄の無い構築も可能ですね。

初期手札率を上げやすい

薄いデッキほど初期手札5枚に黒猫が舞い込む確率は上がります。
最終的なデッキ枚数こそ当然コンボ側の方が多くなりますが、ステロ側は言うまでもなく点数先行を狙ってくるため最初のリアクションタイミングはコンボ側にとっての中盤です。ちょうど圧縮が完了して猫が手札に並びやすいタイミングで牽制できます。
また、ステロデッキと違って次ターンの初期手札に仕込む様々なギミックを採用できます。
伯爵で山札に戻すような直接的なものや、倉庫系で捨ててリシャッフルに混ぜておくだけでもリアクション確定行動となります。構築途中では村不足過剰ドローソースとして手札に持て余しがちな黒猫には、不思議と好都合な使い道ですね。

呪いを掃きやすい

多くの場合、既にデッキを圧縮しており、かつ引き切る体制を作っているのであれば、呪いを廃棄する挙動が安定的に行えるはずです*3
ステロデッキも廃棄カードを使用できないわけではありませんが、数ターンに1枚のキーカードではまず太刀打ちできません。急激な劣化こそが黒猫の特性なので、肉屋だろうとよろずやだろうと対抗は不可能です。ステロ側は財宝の厚みでダメージを軽減する方向で動くことになるでしょう。

呪いを配ろう。では配るために…?

ありったけの猫を~かき集め~♪ られないことは先述の通りです。
4人戦の1人魔女が異常に強いことは古来から知られています。黒猫は独占を許すと一撃で5枚単位だとかの呪いが飛んでくるため、疑似的に1人魔女に近い状況が出来上がりやすい性質を持ちます。2人だけに集中してしまった場合でも、運次第ではいざ配られたら呪い枚数差が1人魔女と同等に開いてしまったなんてこともあります。
そんなわけで、なんとしても黒猫枚数で優位を取りたい、または優位を取れないまでもしっかり枚数は割っておかなければ危険です。

ではどう集めるか。前項の繰り返しになりますが、黒猫はコンボデッキでこそ集めやすいです。
ステロデッキはお金の出力に特化したデッキであり、アクションカードを集める手数は稼げません*4
コンボデッキなら枚数を許容するとは上述しましたが、やはり集めやすさにおいて遥かに融通が利く点で優位です。
カード獲得効果を使用して集めるのも悪くありませんが、黒猫は2コストカードと非常に軽量であるため、購入権を活かして集めることが容易です。
ちなみに特筆すべきシナジーとして、初手≪Snowy Village/雪深い村≫から黒猫だけをひたすら集める戦術があります。購入権は増え、4アクションの限り2ドローで手札も増やせて、構築パーツへのアクセス順も前後させられると黒猫にとっては非常に好都合な住処です。

いつ入れるの?今でしょ(死語)

くどいほど繰り返しますが、基本的に黒猫の山は枯れます
多少手数の痛み分けになってしまったとしても前のめりに集めるのが丸いです。
つまり今すぐに購入してください。

まぁ誇張も入っていますし、必ずしも強力なサプライばかりではありません。序盤から全員が無視するならそれもゲーム展開のうちでしょう。
ただ、相手が手をつけた途端に対応しなければ独占リスクが発生してしまうのは事実です。自身の構築に猫を飼うスペースがないか、または最初からそうなる展開を考慮した手順を取っておくべきだということは間違いありません。
序盤から確実に存在を意識しましょう。風車なんか無かったとしてもね。

勝利点を買うな

まず、黒猫に手を付けられる前に属州を買うことは不可能だと思ってください。
上述の通り黒猫へのスマートな向き合い方は、相手の属州タイミング直前に買い込むのではなく、構築のパーツとして自然と組み込むことです。つまり序盤から集められてしまうのが一般的なゲーム展開です。
たまたま相手のリアクションをかいくぐる幸運こそあれど、黒猫を構えられるより早く属州を買おうと計画立てるのは諦めてください。

そして、自分自身は可能な限り属州を買わないでおくべきです。
魔女を打つ行為の目的は、相手のデッキを劣化させたいのは勿論、同時に自分のデッキを劣化させないためでもあります。ドミニオン学の基礎に、魔女場の自分の呪い受け枚数は「10-自分が魔女をプレイした回数」というものがあります。いわゆる魔女全受けでは呪いを10枚貰うところ、3回打てば3枚減って7枚しか貰わないで済む事象のことですね。
せっかく魔女を購入したのだから、できるだけ多くの呪いを配りたいのは当然ですね。

これを黒猫に当て嵌めるとどうなるでしょうか。
黒猫が呪いを配るにはリアクション条件を満たさなければならず、つまり相手に勝利点カードを買ってもらう必要があります。それも多く配りたいなら多く買ってもらう必要があるし、何より一撃が大きい黒猫では最初に買ってもらうだけでも多くの枚数を分配できるでしょう。
もうお分かりでしょうが、これらはコントロール可能で、自分が勝利点を買わないことで相対的に達成できます。
勿論その間指をくわえて見ているわけではなく、コンボデッキの構築に手数を回せるという話です。最初の属州が買われてからが低速化するため、勝利点着手に出遅れたところで通常のゲームの様なターン数の視点での後から追うシビアさはありません。それどころか呪いを受けられる体制を整えておいた方が最終的な点数を伸ばしやすいことが多く、ひたすら構築し続けることが常時より正当化されているように思えます。

呪い配り終わったら用無し…じゃない!

魔女場の魔女2ドローは弱いです。自分のデッキも汚れているため2枚が生む金量期待値が低いためですね。銀貨の方がマシと言われることさえある出涸らしです。
黒猫場も2ドローが弱くなる根本は同じですが、さて扱いは同じでしょうか。答えは全く異なります。

黒猫を持つプレイヤーは終盤、まさに「1人道路網*5」というべき状態に突入します。
勝利点購入だけは点数行動のためにどうあっても避けられませんが、他人の勝利点購入を出汁に勝手に手札を増やす不届き者が現れるんです。アタックカードとしての呪い配りにばかり目が行きがちですが、リアクション条件を満たせば無料プレイ→プレイすれば2ドローである本人にとってのボーナスは終始不変です。こと勝利点購入に限れば終盤の方が行われやすいので、終盤ほど軽快にデッキを掘り進める姿が見られます。

黒猫の所有枚数が手札枚数の差に直結しているという話ですが、黒猫を持っている側はその手札のうち必然的に呪い比率も低いです。つまり呪いを多く配った者こそが手札枚数を多くキープし続けるというマウンティングであり、黒猫の真価はここだとすら言えます。
この時点になって初めて独占されたことを後悔するのでは遅いのです…。

改めて魔女と比較すると、自分のターンでエンドアクションの2ドローカードをプレイすることと、自動で毎ターン多数の手札から行動し始められるのでは何もかも意味合いが異なります。つよい(確信)

余談

同じく移動動物園出身となるカード2枚を挙げて、黒猫と比較します。

備蓄

独占させてはいけないカードと言えば、同拡張セットに象徴的なカード≪Stockpile/備蓄品≫が存在します。
こちらは一定の買い戻しを要するカードなので、倍の数取られた時の威力は倍では収まりません。
しかし備蓄独占がいかに強力とはいえ、他に対抗手段や優先すべき構築手順があればそちらを取ってしまって構わないと思います。あくまで多数ある属州アプローチの手段であり、単純に競い合いの認識です。
一方で黒猫は違います。誰がどのような経路を辿って属州へ到達しようと一度そこで勢いが止まるようにと仕組まれた抑止力です。構造的に避けられない部分に設置された関門なんです。であるならば自らが抑止する側に回った方が上手であり有利であり…誰しも強権を握りたいが互いに握らせないために独占が許されていない、そんな構図を内包しているカードなんですよね。

魔女の集会

一気に呪いが入ってくるという観点では、同拡張セットには≪Coven/魔女の集会≫というカードも存在します。
10枚近くの呪いが完全に同一タイミングで入ってくるため、黒猫に比べて捌くのは更に困難です。
こちらは様々な観点からステロ戦術が正当化されています。
コンボだろうと結局呪いを捌き切れないこと、集める手段も特にコンボデッキに優位の無い5コストであること、本体がただの銀貨のためコンボデッキで扱うのがやや難しいこと、一方で+1アクションを持つのでステロ戦術にも比較的無理なく加えやすいことなどによります。
黒猫と比較すると、勝利点カード獲得に対するカウンターではない点の差異が最も大きく、「呪いの入っていないうちに点数先行」が可能であることもステロを幇助しているでしょう。
配り終えた後には何も残らない単純銀貨なので、魔女のように無視してしまうパターンもあり得ますね。つまり黒猫はそうではないと言いたいだけです。

さいごに

黒猫は初期手札に含まれるか否か、そして一気に呪いを撒くことで格差が生まれる*6ため運ゲーが嘆かれがちですが、考えるべきことは多いカードだと思っています。
今のところ私の持論は、
「ステロ場なら自分が属州1枚目先行」
「コンボ場なら相手に属州1枚目を買ってもらう」です。
後者に関しては散々書きましたが、前者に関してはなんだかんだ言って呪いが無い状態で点数行動できるのは先行者だけの特権だと思っていますから。

さて、日本語版の発売後にどのように評価が進んでゆくのか、私としても大変に楽しみです。
今より更に1ヶ月後、また別の方が情報更新された黒猫の専用記事を投稿してくれることでしょう(笑)
ドミニオンの面白さはまだまだ尽きない!

*1:ドミニオンオンラインの現行訳は"動物祭"

*2:ちなみにルールの方がどれくらい難しいかと言うと、公式であるドミニオンオンラインでもリリース2ヶ月後にして今なお黒猫の呪い獲得順が間違っているくらいです。

*3:事故が起こり得るゴミカードの許容枚数が5枚…といった場合も、あらかじめ過剰廃棄してゴミ0運動を終えていれば、1ターンに2枚しか廃棄できなかろうと、3枚4枚単位で入ってくる呪いにも十分に対処できます。

*4:肉屋等の例外はあります。

*5:4人戦環境における道路網は、中盤以降は手番1巡の間に最低でも誰かしらの勝利点購入が行われるため、常にドローボーナスを得た状態でターンを迎えられます。誰かしらの勝利点購入をきっかけに手札の多さが手札の多さを呼ぶ状態に突入し、試合全体に凶悪なブーストがかかったままゲーム終了まで走ってしまう異常なプロジェクトです。

*6:手番の問題もあり場合によっては黒猫に投じた手数が返ってこない